May 11, 2007
■山桜を探す
今年の四月末からゴールデンウィークにかけての桜見物、僕はひとつのテーマを決めていた。それは『山桜』である。
公園や川原沿いに「観るため」に人の手によって整然と植えられた桜たちではなく、山の中に自生し「生きるため」にそこにある山桜。それを見ようと思ったのである。あるいは人の手に植えられたものであっても、街を離れて野生の香りを醸し出していればそれも良い。そんなことを考えながら、先日の連休は車を走らせた。
そうして見ると、山桜とは案外あるものである。ちょっと山間の道へドライブすれば、新緑の木々の間にぽっかり浮かぶように、あちこちに桜の花が咲いている。その花をじっと見ていると、何か意味ありげに見えてくるから不思議なものだ。それはもしかすると、野桜といえど、ずっと昔に誰かが何かの思いをこめて植えたものだからなのかもしれない。
下の写真は山形の小国町にある、樽口峠という場所の桜である。もともとは二本の桜が並んでいたのだが、残念ながら豪雪の重みで一本が折れてしまったらしい。だが残りの一本は健在だった。
あいにく満開には遠かったが、雪残る山並みをバックに峠の頂きに立つこの樹の立ち姿は、まるで武士のように美しい。
山桜の魅力は深い。見れば見るほど、さらに深みにはまりそうである。
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