December 15, 2007

■あるペンション・オーナーの憂鬱

 今年の9月、夏休みで出かけた那須高原。そこでお世話になったペンションホテルがとてもよかったので、泊まる予定もないのに時々ネットで予約状況を見たりしているのだが、とある旅サイトでそのホテルに関する書き込みを見つけた。ちなみに日付を見ると、その人が泊まったのは夏休みあたりらしい。

「夜に露天風呂に入ったら虫がすごくて大変でした。最初から説明して欲しかったです。」

 上の文面は要約だが、書き込み主がだいぶ不快に感じてプンプン(虫だけに)怒っているのがわかる書き込みだった。
 そういえばこじゃれた露天風呂の隅に毒々しいデザインの殺虫剤がおいてあって、妙に違和感を感じたのを思い出した。そういうことだったのか。

 こういうお客を相手にしなければいけないオーナーさんは大変だなあ、と気の毒に思った。
 夏の夜、外の灯りに虫が集まってくるのは地球上どこに行っても同じである。そんなこともわからないほど薄っぺらい現実感覚を持った“お客さま”が、この社会にはウヨウヨしているのである。しかもそういう当たり前の不快さを誰かのせいにせずにはいられず、クレームとしてネットに書き込むゆがんだ精神構造まで持ち合わせているので尚さら薄ら寒い。

 大きなホテルとかなら、こういうゴミクレームには組織全体として対応して適当に謝ればいいからダメージは少ないが、このペンションのようにオーナーさん夫婦だけで切り盛りしているようなところは、どれだけストレスになることだろう。実際その書き込みに対してオーナーさんは謝罪のレスをしていて、その結果が僕が見た殺虫剤の缶だったのだと思う。

 こういうところからオーナーさんが疲弊していき、愛すべきホテルのサービスが低下して行ったりしたら、他の大半のお客にとっては大きな損失である。
 それを避けるためにできることは、私たちができるだけいいお客になることである。オーナーさんが『この仕事をしていて良かった』 と思えるような、気持ちの良い来訪者になることである。そう思える瞬間があれば、続けていけるものである。

 サービスは一方通行のものではない。良いサービスは、お客も一緒に育てるものである。
 

那須の朝ごはん
↑ホテルの朝食。サイコーだった。



Posted by woodcat at 19:31:58 | from category: 言わせてくれるか | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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