February 03, 2008
■石油ストーブのありがたみ
温風ファンヒーターが苦手である。
温かい風がびゅううっ、と吹いてくるのが体に当たるのが、何か機械的で不快なのである。おまけに最近のはセンサーの感度が鋭すぎるのか、あっという間に『換気』サインが付いて勝手に消えてしまうので、手間がかかってしょうがない。
そのイライラがついに今日、頂点に達した。
夕方の6時、私はソファからむっくりと立ち上がると、やおら近所の某電器店に向かった。目的は、昔ながらのパネル式の石油ストーブである。
暖房機コーナーの壁面一面に並び立つ温風ファンヒーターたちの傍らで、我がいとしき石油ストーブたちは慎ましやかにその身を並べていた。
おお、かわいそうに、こんなに隅っこに押しやられて。だが僕はわかってる。本当に役に立つのは乾いた風で部屋中を都会の砂漠に変えてしまうファンヒーターたちじゃなく、赤々と燃える光で燦々と空気を暖めてくれる君たちなんだ。
しかし購入は冷静に。わたしは冷徹な目で一つ一つの性能と値段を検証し、割引価格で一万円強のストーブ君を購入した。
で、さっそく使っているのだが。これがいい。
ファンと違って無理やり空気を動かさないので、とてもやわらかく部屋があったまる気がする。上にやかんを乗せれば乾燥防止にもなる。網を載せれば餅だって焼けるのだ。セニョリータいわく、調理中の鍋も置いておけるので、料理のIHにかかる電気代の節約にもなるという。なるほど。
このご時勢、ファンと比べて灯油がどっちがどれだけ節約できるかと言うのが問題になるが、それはしばらく使ってみなければわからない。だが、もしこっちのほうが割高になるとしても、北国の長い冬を快適に過ごせるかどうかの心と体のストレスを考えれば、ある程度は許容範囲として受け入れようと思っている。
そして何よりのポイントは、こういうストーブは、ちょいと風情を感じるのが大変よろしいのである。静かに赤く燃える火は、何とも言えない存在感で暖かな空間を作り出してくれるのである。