March 28, 2007

■旅の香り

この季節になると、無性に旅に出たくなる。

 人間の記憶と最も強く結びついている感覚は嗅覚だと言われる。それを考えれば、僕の旅への欲求も三月の香りに呼び起こされているものだと考えてよいのだろう。初めての海外。友人たちとのアメリカ珍道中。まだ肌寒かった京都。思えば思い出に残る僕の旅の多くは三月の空気の中でのものだった。そしてもちろん、すべての人がそうであるように三月は新生活へむけて、自分が外的にも内的にもダイナミックに動き出すシーズンでもある。引越しや新生活も、見知らぬ場所への移動と見れば、それもひとつの立派な旅だ。

 三月の香りとは土の香りでもある。小学生の時、下校時に僕の前を歩いていた上級生が突然「土の香りっていいよねえ」とつぶやいた。僕は幼心に(なんてキザなヤローだ…)と思ったのだが、結局自分もいつの間にか春の訪れを土の匂いで感じ取るようになった。あの上級生、もう誰だったかもすっかり忘れてしまったのだが、きっと詩人オヤジになってることだろうなあ…。

 庭の梅の木がもう満開に近くなった。土の香りとともに、花の彩りもまた旅のアクセントである。
 旅はいい。たとえそれが、ほんのちっぽけなものであっても。

梅

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March 24, 2007

■アマゾンのほとり

 ある雑誌のバックナンバー一覧を眺めていて、どうしても読みたい号があった。しかしそこには真っ赤な文字で「SOLD OUT」とある。オークションをチェックしたら出品されていたのだが、落札価格は定価の2倍以上の値段がつき、なんだかばかばかしくなって入札を降りた。
 しかしもしやと思い、amazonで検索をかけてみると、なんと普通に定価で扱っているではないか。僕は早速注文した。

 ところが発送の予定日を過ぎても一向に送られてくる気配がない。「手配中です」のメッセージのまま、ずるずると一ヶ月あまりが過ぎたころ、amazonから一通のメールが入った。要は「実は在庫ありませんでした。今探してます」的な内容が事務的に送られてきたのだが、「あきらめてくれ〜」みたいな空気がふんわりと言外から漂ってくるメールだった。
 そんなわけで入手はあきらめ、いずれ縁があればどこかの古本屋ででも見つかるだろうと思っていたのだが、それからまた一週間ほどした日のこと、突然いつものアマゾン箱に入ってそのバックナンバーの新品が届いたのである。
 これにはちょっと感心した。
 日々何万もの注文をさばくamazonで、こうしたイレギュラーな注文がきちんと最後まで処理されるとは。もちろん顧客のオーダーに責任を持つのは当たり前のことなのだが、僕がちょっと嬉しかったのは、たぶんこれ一冊のために頑張ってくれた人の姿が見えたからである。このバックナンバーはおそらくどこかの問屋か小売店の倉庫に眠っていたものに違いない。きっと担当のオニーサン(オネーサンかも知れないが)は取引先に電話をかけたりしてこの一冊を確保するために労力を裂いてくれたのだと思う。いわば巨大な河のほとりで地道な仕事を営む人間のにおいが感じられた気がして、僕は嬉しかったのだ。

 後日、そのバックナンバーのamazonの注文ページを開いてみた。きっとそのページには「ただいま在庫ありません」のメッセージが記されていることだろう。そのメッセージは僕の注文を担当してくれたオニーサンの頑張りの証でもあるのだ。最後の一冊を注文した者として、僕はそのページを確認しておきたい。


 …あ〜、てかまだフツーに売ってるんだ。 お〜、格安ユーズド品もよりどりみどりですか。
 商魂おそるべし。オニーサン、在庫集めすぎたのかな…。



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March 21, 2007

■GEOの鳥瞰図

 東京という町が好きである。実際に住んでいたこともある。だが地下鉄移動が多いせいか、気に入っているいくつかのスポットが『点』でしかなかった。つまり東京の全体像がイメージできなかったのだ。そんな状態を何とかしたくて東京地図を部屋に貼って眺めたりしていたのだが、ある時すばらしい地図を見つけた。それが鳥瞰図【ジオラマ東京】である。どんなものかは百聞は一見にしかず。興味ある方は見てみて欲しい。⇒(GEOホームページ
 製作期間に八ヶ月かかるというこの手書きの鳥瞰図、二年に一度更新されているらしい。僕の持っているバージョンにはないのだが、現行版には六本木ヒルズなどもお目見えしているようだ。

 その鳥瞰図シリーズの新作を最近手に入れた。【ジオラマ京都 春】である。実は昨年、僕は生まれて初めて京都という町を訪れた。テレビや写真でしか見たことのなかった渡月橋や清水寺。また雑誌の片隅に載っていた隠れた名店。そんな『点』たちが、レンタカーを借り、地図を片手に歩き回ったおかげで、具体的なイメージとして僕の体に刻み込まれた。そして多くの人々がそうなるように、僕もまたいにしえの都の魅力に取り付かれた者となった。
 【ジオラマ京都 春】はその京都が東山から嵐山、北は鞍馬寺まで一望できる一枚である。春バージョンということで、桃色の桜の彩りが、精緻な地図に風情を添えている。

●鳥瞰図の一部(クリックすると写真が開きます)



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March 15, 2007

■My Name Is

このブログを始めるにあたって、ニックネームを考えた。
本当はいつもの「woody」にしたかったのだが、すでに使われていて断念。以前ほかの場所で使っていた「シン」も考えたが、shinとsin、英単語として読んだ時にどちらも意味がパッとしないのが気になった。
 結局あまり深く考えるのはやめて、「woodcat」で決定。ブログタイトルの「White Cat Blues」はずっと前から決めていたので、それに合わせることにした。日本語に直すと森猫だな。モリネコ。





23:41:53 | woodcat | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks

March 14, 2007

■White Devil

ここ数日、北日本を襲っている寒波。僕の勤務地周辺もすさまじい吹雪。

写真は事故による大渋滞。幸い軽症の人しかいなかったそうな。
風が強く、カメラを構えても体が揺れ、手ブレ写真しか撮れなかった。

全てを白く染め抜き、吹き飛ばす白い悪魔。



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20:14:23 | woodcat | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks